相模女子大学小学部 副校長 川原田康文氏
神奈川新聞2019年1月22日掲載
2020年に小学校で「プログラミング教育」が必修化される。
プログラミングとは人間がコンピューターにしてほしい事を専用の言語で指示することだ。
家電製品からロケットまで、あらゆるものがプログラミングによって動いている。
技術革新が進めば進むほどコンピューター技術は重要になる。
小学校からのプログラミング教育導入にはこのような背景がある。
実はもうこの取り組みを始めている小学校もある。
その一つが相模女子大小学部(相模原市)だ。
2017年4月にロボット教育の第一人者・川原田康文氏を副校長に迎えて小学部と中学部でプログラミング教育の授業を開始した。
同年11月にはシンポジウムを開催して授業報告が行われた。
同小学部の授業では、ブロック玩具の草分けでもあるレゴ社が開発したロボット教材を使用。
簡単なパソコン操作でプログラミングができ、パソコンからの無線指示でロボットを自由に動かすことができる。
理科の授業での活用例を紹介する。
「地震ロボット」の実験である。
建物に見立てたブロックを揺らす装置を使う。
装置の揺らす部分がロボットになっている。
児童は揺れを起こすプログラミングを行い、ロボットに任意の揺れを起こさせる。
揺れの程度でブロックの倒れ方の違いを観察するのだが、その様子は動画で記録し、映像付きの観察レポートを作成する。
最後にそれを発表して授業は終了となる。
川原田氏は「プログラミング教育の指導上のポイントは、なるべく児童たちに『教えない』こと。
児童自身で試行錯誤を繰り返し、課題を解決することが大切。
考える癖を育てたい」と語る。
ものづくりの世界にはたくさんの失敗から良いものが生まれるという考え方がある。
プログラミング教育にもこの考え方が生かされている。
プログラムを組んではロボットが思ったように動くかを確かめる。
それを何度も繰り返す。
先生から教えられる正解が授業の中心にあるのではなく、児童の好奇心や探究心を重視した授業づくりがプログラミング教育の目指す姿なのだ。