神奈川新聞 連載コラム

48回 ザ・チャレンジ!(小学校受験編)英語教育「王道」の取り組みは?

  • 2016.8.29

 最近話題の英語「4技能」、聞く・話す・読む・書く、そこにフォニックスを絡めたカリキュラム、いわば「王道」とも言える方法で取り組んでいる小学校がある。自然豊かな箱根の山間、強羅駅からほど近い函嶺(かんれい)白百合学園小学校だ。「周辺には外国人観光客が多く、英語を使う場面には事欠きません」と英語科主任の佐野先生。授業について詳しく聞いてみた。
 各学年とも週に2時間の授業があり、ネイティブの先生と日本人の先生のWティーチング制を採用。首都圏の私立小学校では標準的な形態だ。工夫はここから。週に1度の「イングリッシュ・デー」。朝の礼拝からお昼の放送、さらには英語以外の授業も可能な限り英語で行われる。英語科以外の先生は大丈夫?と気になるが、児童達と楽しみながら英語に取り組んでいるそうだ。
 また、それとは別に新たな取り組みとして、毎日10分、とにかく英語に触れまくるというチャレンジも始まる。「新しい言語に馴染むには年間160時間、その言語に触れるとよい」という定説があり、それを実践する。授業ほか、児童が校内で過ごす時間は1年間に100時間、これを英語漬けにする。あとの60時間は通学時間の活用だ。全校児童に専用小型ICプレーヤーを配付し、毎日10分、英語のヒアリング。通学時間にゆとりのある同校ならではの発想だ。
 その他、高学年は国内専用施設での英語漬け研修。観光地箱根ならではの、箱根コミュニティーカレッジ主催「おもてなし英語プレゼン大会」への参加。英語能力テストへのエントリーなど豊富な取り組みが目立つ。冒頭でフォニックス絡みの英語指導を「王道」と紹介したが、言語習得に効果的とされる様々なものを意欲的に取り入れている印象を受けた。
 メニューが多過ぎて児童が混乱しないのか、学習成果をどう確かめるの、など気になる点もあるのだが「まずやってみて、当校に合うものを見つけていく」と佐野先生。その手には「Kanrei Can Do」と書かれた英語到達目標の一覧が。各項目に達成の印を増やしつつ確実に進化する予感がした。
(どんちゃか/理英会 中里 淳)