《小学校受験編》
みなさんは「国大」と言ったら何を連想しますか?「国立大学」というのが最も多い回答かもしれませんね。でも県内の小学校受験に関わる人達の間では、国大と言えば横浜国立大学教育人間科学部附属横浜小学校、または鎌倉小学校を指す(ことが多いです)。
国立という安心感からか横浜小も鎌倉小も人気がありますが、その割には情報が少ないのも事実です。そこで今回は横浜小を取り上げてみます。高台にあるため登校時にはかなりの坂道を上がらなくてはならない(これを毎朝小学生が!?と初めて訪れる人はたいてい驚く)。そんな「国大」横浜小の最新入試問題の中から特徴的なものを取り上げ、何が子どもに求められているかを考えてみましょう。
その① 行動観察
【大きなパズルを完成させよう】
子ども達の前に大きな箱形のパズルがセットごとに置かれている。パズルに描かれている絵をよく見て積み上げ、絵を完成させる。唯一のルールは「1人で積み木を操作してはいけない」。なお、1ピースだけ自分たちのセットと別のセットのものが入れ替わっている。
この課題のポイントは「唯一のルール」から生じる制約です。パズルの完成には2人以上のグループを作る必要があり、互いに協力せざるを得ず、不足の1ピースを手に入れるには他のグループとピースを交換する交渉が必要になります。
さて、ここから読み取れることは何か。1人突出して何でもやってしまう子よりも、積極性と協調性を兼ね備え、周囲を巻き込みながら目的を果たせる子が求められているということです。
理由はもちろんあります。
実際、横浜小では入学後の学校生活において、そのような要素が必要とされる場面が少なからずあります。例えば1週間のカリキュラムはクラスの子ども達が決めていく。近くの森林公園に出かける。そこで何をする?…といった具合に。コミュニケーション力とディスカッションの力がないと学校生活が成り立たないしくみになっているのです。
次も興味深い問題です。
その② 話の記憶
【お話を聞いて、後の問題に答えよう】
一匹のサルが朝起きて森へ出かけ夕方帰宅するまでの話。遭遇する出来事に喜怒哀楽の感情が揺れる。サルの表情の変化を描いた絵の中で正しいものを選ぶ(資料①参照)というもの。
表情の読み取りはコミュニケーションの基本。思いやりのバロメーター。前述の協調性にも通じますが、人の気持ちが読み取れる子にこそ横浜国立大学人間科学部附属横浜小の一員になってもらい、学校生活を楽しく円満なものにしてほしいという願いがここにも感じられます。
神奈川新聞 連載コラム