神奈川新聞 連載コラム

25回 ステップアップ!(幼児教育編)興味、関心の基盤は?

  • 2014.1.6

神奈川新聞2014年1月6日 朝刊掲載

今週のポイント

  • 幼稚園教論・保育士の環境改善を
  • 父母が好きなフィールドに子を参加させよう
  • かるた、トランプなどアナログあそびを家族で

今回は【環境】。この領域は、身の回りのヒト、モノ、コトに興味、関心を持つこと。その発展系として好奇心、探求心を養うに集約される。
人間は五感(聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚)を通じて、ヒトやモノを認識していく。よって、幼稚園や保育園でさまざまな経験を園児たちにさせようとカリキュラムや行事を組み立てる。日本の教育の基盤づくりだ。
ただ、稚拙な行事運営の連続でスタッフが疲れ切っている園を見掛けることもある。幼児にとって、最も身近な人的環境は、先生。指導者の情緒安定やはつらつとした元気な姿、知性あふれる立ち居振る舞いが、幼児たちの豊かな感性を培っていると考えれば、幼稚園教論、保育士の“環境”は、経営者も自治体も考えるべきだろう。
さて、【環境】領域でのポイントである興味、関心は、好き、楽しい、おもしろい、という感覚と結合する。とりわけ、「好き」という感情を大事にしたい。
とにかく教育熱心な親は、“好き嫌いなく”を強要する傾向がある。人間は基本的に「快の原則」に従って行動する。行動はエネルギーを生む。そのエネルギーは新たな行動力の源になる。では、どのように考えるのか。大きく二つ。
第一に、父親、母親が好きなフィールドに子を“参加させる”を中心に考える。親が夢中になるコト、モノが、その子にとって最良の題材になる可能性は高い。留意点は三つ。①遊び感覚②子の年齢に合わせる③「みんなで遊べる」モノ、コト、時間を与える。
第二に、アナログ遊びを家族で。かるた、トランプなどのカード遊びは、2人でもできる。パパがトランプをサッサッと切るだけで、子どもの目が輝く。ルールは簡単な「カードめくり」「神経衰弱」「うすのろ」「ばばぬき」など数種類のバリエーションがあるだけで楽しめる。双六(すごろく)、将棋、囲碁、オセロなどのボードゲーム。最近は幼児用に工夫されたものも豊富だ。
サイコロを二つ転がせて遊べば、足し算はすくに覚える。楽しいから覚える。勝ちたいから学習する。プリントで学ぶより、数倍有効だ。遊びが好奇心を芽生えさせる。
明日は七草粥。若いパパママはあまり食さないようだ。「せり、なずな、ごぎょう…」と何度も唱えながら日本の食文化に触れさせよう。正月で疲れた胃袋を休ませて、今年も笑顔で健康的な子育てを!

5領域の中の「健康」領域のねらい(幼稚園幼児指導要録と保育所児童保育要録のねらいは同じ)

  • 身近な環境に親しみ、自然とふれあう中でさまざまな事象に興味や関心を持つ
  • 身近な環境に自分からかかわり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする
  • 身近な事物・事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字などに対する感覚を豊かにする