神奈川新聞 連載コラム

3回 ステップアップ!(幼児教育編)6歳の選択とは?

  • 2011.11.7

6歳の選択 その1
神奈川新聞2011年11月7日 朝刊掲載

2013年春に慶応義塾・横浜初等部が田園都市線江田駅徒歩5分に開校した。
慶応ファンにとっては、慶応幼稚舎(渋谷区三田)との併願が可能。
つまりチャンスが2回(同一試験日でなければ)になる。

小学校受験というと「お受験?」と呼ばれているように「特殊性」を感じる方も多いだろう。
無理もない。
神奈川県内では、28校の私立小と2校の国立付属小しかない。
私・国立小学校に通っている子供は神奈川県下では3%ほど。圧倒的に少数だからだ。

考えてみれば、人の一生というのは選択の連続。
保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と教育機関1つとってみても、大きな選択肢が人生に待ち構えている。
大学は全入時代になっているのに、保育園には入りたくても入れない。

いわゆる「待機児童」問題は深刻だ。
“どこでもいいから入園させてぇ〜”と働く女性の悲鳴が聞こえる。

横浜市の林市長は「待機児童ゼロを目指す」を宣言し、一時的には達成したものの時代の流れに押し戻されている。
行政の踏ん張りに期待したい。

さて、小学校受験は100%親の意向であり、80%親の努力で決まる。
「受験」の中でも珍しいケース。1つのチャンスなので何も考えずスルーするのは勿体ない。
「教育環境は与えられるものではなく、選ぶもの」という考え方を持つと子育て視界が広がる。
自らバリアを張らず、先ずは情報収集から始めることだ。

国立系は、まだまだ閉鎖的だが私学系はオープンになっている。

百聞は一見に如かず。
我が子のための最善の教育環境を自分の目で見ることだ。
それを面倒だと考える人は、選択の自由も諦めたほうがいい。
一般的に受験を考える親御さんは行動的な人が多い。

私・国立小学校受験を無闇に推奨しているのではない。
人気校は、狭き門であるし、受験は真剣勝負。生半可な気持ちでは成就(じょうじゅ)しない現実もある。
そのことも含めて我が子の将来の進路を、「6歳の選択」という視点からご夫婦で話題にしたらどうだろうか。
我が子の長所や短所を夫婦だけで情報交換するのも一興。

子育ては、想像しているより数段速い。
「小学校受験」をスルーしても、次の選択肢「中学受験」までには6年間しかない。
その次の選択肢は3年。
そして、親が関与できる範囲は年齢が上がるほど狭くなる。

もちろん、オススメはしないが、「子どもの自由意思、自然に任せる」というハイリスクな考え方もある。

“備えあれば憂いなし”は子育てでも同じ。

(「どんちゃか」「理英会」代表・米田 正人)