神奈川新聞 連載コラム

67回 ザ・チャレンジ!(幼児教育編)「こんな子いるかな」なぜ人気?

  • 2018.10.30

絵本作家 有賀忍氏
神奈川新聞 2018年10月30日 朝刊掲載

NHKの幼児向け番組「おかあさんといっしょ」の中で1986年から放映されたアニメ『こんなこいるかな』をご存知だろうか。
いやだいやだの「やだもん」をはじめとして、いたずらっこ、こわがりや、わすれんぼうなど個性的な12人のキャラクターたちが、その愛らしいデザインとともに、子どもに人気のコーナーだった。

当時このアニメを見ていた子どもは今、子育て世代。「ぜひわが子にもあの12人のキャラクターに触れさせたい」という声が多く聞かれていたそうだ。
そのリクエストに応えて、30年ぶりに『こんなこいるかな』が絵本で復活した。全12巻(日本図書センター)が現在、新装版で刊行されている。

原作者の有賀忍さんに話を聞く機会があった。有賀さんは絵本作家・板絵画家であり、現在は江戸川大学の客員教授として、幼稚園や保育園の先生を目指す学生を指導している。
▽『こんなこいるかな』について
子どもたちが『こんなこいるかな』を好きになってくれたのは、登場する12人が決して叱られることのない話だったからではないでしょうか。
いたずらっこや、こわがりさんが「ダメ」だとは思いません。
それはその子の個性なのです。特質として認めてあげましょう。
子育てに対する僕の理念は「子どもを他人と比べてはならない」というものですが、それを『こんなこいるかな』の世界に強く反映させたのです。

▽子育て世代に向けて
人間はそれぞれが違って生まれてきています。
何かができる・できないという視点で子どもを評価するのは賢明ではありません。
たとえば、子どもが絵を描いている時、大人は「はみ出してはだめよ、ちゃんと塗りなさい」とアドバイスしがちですが、むしろ「はみ出たところが面白い。
人と違ったものができたよ」というように見てあげてほしいのです。
子どもの素直な感動表現を認めていただきたいのです。

有賀忍さんの作品が出展される現代童画展は、11月10日(土)~16日(金)、上野の東京都美術館で開催。