神奈川新聞 2021年3月1日 朝刊掲載
映画『モンテッソーリ 子どもの家』
配給:スターサンズ、イオンエンターテイメント© DANS LE SENS DE LA VIE 2017
2021年2月19日(金)より、新宿ピカデリー、イオンシネマほか全国公開
Amazon、Googleの創業者たち、経営の神様・ドラッカー、英国王室、そして藤井聡太棋士ら、錚々たる著名人が受けていたのが「モンテッソーリ教育」です。
医師・教育家のマリア・モンテッソーリ博士のイタリア、ローマの保育施設「子どもの家」での試行錯誤をもとに考案された100年以上の歴史がある教育法です。
先生の指導に加え、異年齢の子どもたちが一緒に学ぶクラスで他の子の様子を見たり、教え合ったりして学ぶことを尊重しています。
そんな子どもの自主性を重んじるモンテッソーリ教育を受ける2歳半~6歳の子どもたち28人のクラスを2年3か月に渡り観察した映画「モンテッソーリ 子どもの家」が現在、全国の映画館で公開中です。
映画では北フランスにある最古のモンテッソーリの幼稚園クラスに密着。教室内部が映ると、そこでは子どもたちがそれぞれ自由に好きなことに取り組んでいました。
にもかかわらず、ふざけたりせず、落ち着いて穏やかな雰囲気なのが印象的。包丁で野菜を切っている子たちがいると思うと、その向こうではアイロンをかける子、ハサミで花を切って活けている子もいます。
大人が日常行う家事仕事に子どもたちは黙々と取り組んでいます。
これは子どもの「大人の真似をしたい」という心理と手仕事をしている間、子どもたちの集中力が高まることを結びつけた「お仕事」と呼ばれるモンテッソーリ特有の自立を促す学習方法です。
この他、文字や数字に興味関心を持ち始めたひとりの子に対して、先生がつきっきりになって指導する場面がありました。
ヒトの発達過程では特定の機能が成長するために特別に際立った感受性を持つ時期があります。
モンテッソーリでは子どもごとに異なるこの「敏感期」に合わせて個別指導を行います。
長期間に渡りていねいに子どもたちを追いかけた映像により、子どもひとりひとりの興味や発達を重視するモンテッソーリの本質がよく理解できる作品です。