神奈川新聞 2021年8月23日 朝刊掲載
YOM-TOX英語教務主任 石井直樹
【紙面本文】
小学生に適した英語学習は?
耳できいて覚える「聴読」が最適!
2020年から小学校でも英語が必修科目になりましたが、すでにAI(人工知能)が翻訳をしてくれる現代では、単語帳を丸暗記するような学習とは異なる学びが求められています。
今回はそんな小学生の英語学習についての新しい考え方をお話しします。
まず、年齢ごとに適した言語の習得方法というものがあります。
小学校低学年くらいの子どもには、耳で聴いて覚える「聴読」が最適です。
小さな子どもほど聴覚が鋭敏だからです。日本語ですら発達段階の子どもたちにとって、英語と日本語の違いは大人が思うほどありません。
子どもたちは日本語を身に着ける時と同じように、言葉を耳で聞き、そのイメージを頭の中に思い浮かべることで、どんどん英語を吸収していけるのです。
また、国語の学習は1年生から読み書きが必須なため文字の習得は欠かせませんが、英語は外国語なので文字の習得を急ぐ必要がありません。
この点でも聴読が最適です。文字を覚える負担がない分、たくさん読んだり繰り返し読んだりしやすいため、語彙のインプットに効果が高く、言語習得のよい手段だと言えるのです。
さて、そんな聴読におすすめの本ですが、ストーリー性に富み親近感のある面白い作品を選んでください。
できればネイティブが日頃から使っている表現で書かれている本がよいでしょう。
登場人物に感情移入しやすい作品を読みながら、登場人物のセリフのリピーティング(復唱)を行えば、学習効果がとても高まります。
セリフに込められた感情をとらえながら発話することは、複数人で会話のキャッチボールをするのと同じような効果があるのです。
こうした英語学習を通じて低学年から表現力を増やし、必修科目になる5・6年生からの小中高8年間で感情のこもった会話ができるようになるのが目標です。
英語「を」学ぶ時代は終わり、英語「で」学ぶ時代がやってきます。
英語を通して様々な知識を得るのです。そのために「使える英語力」を身につけることが、これからの英語学習に求められていると考えます。