神奈川新聞 連載コラム

47回 ザ・チャレンジ!(小学校受験編)言葉としての英語、習得する工夫は?

  • 2016.7.4

 英語は日本語と同じように「言語の仲間」であると位置づけ、意欲的に英語教育に取り組んでいる学校がある。日大藤沢小学校。開校2年目のためまだ1年生と2年生しかいないが、その分、学校全体でじっくりと英語に取り組める。子どもがことばを習得する際のプロセスに注目し、工夫を凝らしたプログラムを実践している。
 とある授業でのこと。先生が一冊の本をジェスチャーを交えて読み聞かせている。「うさぎとかめ」の英語版だ。じっと耳を傾ける1年生たち。途中、先生が一つの単語をわざと間違える。その途端、教室のあちらこちらから「ダウト!」という声。「先生、気づいたよ!」という合図だ。
 「1年生の4月から徹底して英語の音声に触れていきます。ただの単語やThis is a pen.などの基本構文でなく、場面のあるストーリーが最適です。何回も聞き、その通りに声に出す練習。それを繰り返すうちに子どもたちは全部覚えてしまいます。」と英語科主任の奥村先生。公的機関の通訳や翻訳など実践的な英語の世界で活躍してきた経験の持ち主だ。この指導法で英検3級レベルの英文も言えるようになるという。
 これを1年間続け、すらすら言えるようになった音を、今度は「文字」で読んでみる。慣れ親しんだ物語やフレーズを「英文」で目にすると、意外な発見や感動もあり、フォニックス的な学習効果が期待できるらしい。なお、この学校の図書室には英語の絵本が800冊近く揃えられている。これも英語に親しむためのしかけの一つである。
 今後の新しいチャレンジについて、校長の坂庭先生が語った。「実は今、国語の授業と英語の授業の融合を考えているんです。どちらも同じ言語としてとらえれば、決して不自然ではないですよね」と楽しげな様子。「今の1、2年生が6年生になったときの英語の力を伸ばせるだけ伸ばしてみようと考えています。そのために良いと思ったことは、どんどん取り入れるつもりです」そう語る校長と、隣でうなずく英語科主任、二人とも同じ笑顔が印象的だった。
(どんちゃか理英会広報部 中里 淳)