神奈川新聞 連載コラム

65回 ザ・チャレンジ!(小学校編)アドベンチャープログラムとは?

  • 2018.8.14

湘南白百合学園小学校、関東学院六浦小学校
神奈川新聞 2018年8月14日 朝刊掲載

アドベンチャープログラムとはグループ活動を通じ、目標達成を目指す米国発祥の体験型学習だ。
今回神奈川県内の私立小学校2校の実践の様子を取材した。

湘南白百合学園小学校(藤沢市)の小学5年生のクラス。
ユーモアたっぷりに説明する先生の声が校庭から聞こえてきた。
コミュニケーションを重視する様子が先生の説明以上に声の調子や身振り手振りから伝わってきた。
この日のプログラムは「フープリレー」。
グループごとに手をつなぎ、その輪にフラフープを通して一周させる。
皆で協力してタイムをどんどん短くしていく。
児童はタイムの短縮に夢中になるが本当の目的は別にある。
フープを1周させるごとに、どうすればもっとうまく回せるのかグループ内で作戦会議をする。
この話し合いこそが授業のねらいだ。
先生はタイミングを見て児童たちに声をかける。
「先生が目標を決めるんじゃないよ。みんなが決めて動くんだよ。チャレンジ・バイ・チョイス!」
最後に発せられた一言、「チャレンジ・バイ・チョイス」とは、一人ひとりが参加度合いやレベルを決め、それを尊重するアドベンチャープログラムの理念のひとつだ。

別の日、関東学院六浦小学校(横浜市金沢区)でも保護者向けにアドベンチャープログラムの体験授業が行われた。
集まった保護者は約30名。
最初のプログラムは「じゃんけんチャンピオン」。
相手を替えながらじゃんけんをし、先に3回勝った人がチャンピオンとなる。
一方、何回も負け続けて最後の一人になった人はゲーム終了後、自己紹介をする決まりになっている。

振り返りの時間に先生がプログラムの趣旨をこう語った。
「このゲームの真のチャンピオンは誰でしょうか。勝った人? いいえ、実は自己紹介をしたあなたです。
負け続けることで勝った人よりも多くの人と関わることができて、しかもみんなの前で自己紹介をする機会もありましたよね。
これは『フルバリューコントラクト』と言って、互いの存在を最大限に尊重しあう理念を体感するゲームだったのです」なるほど、と参加者たちは深くうなずいていた。