開成中学・高校 柳沢幸雄 校長
灘中学・高校 和田孫博 校長
神奈川新聞2019年7月30日朝刊掲載
平成31年間の累計で見ると、東京大学への合格者数1位の学校は、開成中・高(東京)、2位が灘中・高(兵庫)だそうだ。
やはりそうかという結果だが、両校では近年、東大だけでなく、ハーバードを始めとした海外の名門大学への進学者も目立つ。
そんな両校の校長による対談がこの6月、東京ビッグサイトで行われた。
二人の口からは勉強一辺倒ではなく、社会に目を向け行動する生徒たちの様子が語られた。
まず、灘中・高の和田孫博校長が、ボランティア活動を通じ、社会貢献をする生徒たちの様子を語った。
「阪神淡路大震災で最も被害の大きかった神戸市東灘区に位置する灘中・高は当時避難所になりました。水道が止まっていたため、生徒たちはスコップを持って、トイレの処理を行うなど、率先して復興に尽力しました。その震災を経験した生徒が母校に教員として戻り、着任していた時、東日本大震災が起こったのです。その教師は居ても立ってもいられず、生徒たちを連れて被災地へボランティアに向かいました。広島の記録的な豪雨災害の時も、近くの学校へも呼びかけて片付けのボランティア活動に向かっています。このような活動は必ず彼らの人生の糧になっていくと思います」
続けて、開成中・高の柳沢幸雄校長が語った。
開成には生徒の主体的な活動を教師が顧問として支える独自の仕組みがあるそうだ。
活動は多岐に渡り、遠くアフリカまで出向いた生徒たちもいると校長は語る。
「難民キャンプに行って支援をしたいという生徒たちがいました。エボラ出血熱の流行など、様々な懸念事項があり、保護者の判断に委ねました。彼らの思いは強く、今年の1月、現地へ行っています。現在、彼らは難民問題の実態を伝える活動に取り組んでいます。生徒がやりたいということは、今後も最大限、サポートしていきたいと思っています」
超の付く進学校ではあるが、勉強だけでないたくましさが伝わってきた。子育ての指針として学ぶところも多く、今後も注目したい。