神奈川新聞 連載コラム

82回 ザ・チャレンジ!(小学校編)注目の「オンライン授業」の今後は?

  • 2020.6.1

神奈川新聞 2020年6月1日 朝刊掲載

新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校期間中、わが子を相手に先生の代役も果たさなければならなくなった保護者たち。
その救いとして注目されたのが「オンライン授業」だった。
しかし実際に導入された割合はきわめて低く、文科省の調査によれば全国の公立校では5%程度に留まった。
この原因の一つに情報通信技術すなわちICT環境の整備遅れがあるという。
一方、私立小学校では以前から独自にICT機器を駆使した授業を行う学校が少なくなかった。
今回の休校措置に際しても、日頃から校内で使用していたオンラインの仕組みを家庭にまで広げ、自宅で授業を受けられる体制を整えた学校もあった。
そこには一躍脚光を浴びたWeb会議システム「Zoom」や、グーグルやマイクロソフトが提供するサービスの存在が大きいが、その陰でとりわけ教育分野で活躍したのが「ロイロノート・スクール」というアプリだ。

ロイロノートはクラウド型サービスの一種だ。すでに小学校から大学まで全国二千校以上の学校で使用されていて、神奈川県の私立小学校でも、慶應横浜初等部、清泉小学校、洗足学園小学校、横浜雙葉小学校などが導入している。
紙のノートに代わり、Web上に作成したカードや写真に手書き入力し学習ができる。
「資料箱」というデータボックス機能を使うと、作成した文章、画像、音声、動画などを簡単な操作で瞬時にクラス全員に共有もできる。
クラス全員分のデータを画面上で一覧化することも可能で、家庭にいながらクラスの友だちと一体感を感じつつ勉強ができると評判だ。

「資料箱」は宿題でも大活躍。清泉小学校(鎌倉市)=写真では休校期間中、音読の宿題をロイロノートで行った。
児童が自分の声を録音し、教員に音声を提出する。正しく読めているか、音声を教員がチェックをしてフィードバックしたそうだ。
長い休校期間中、大量のプリント課題が出されるだけで指導は家庭任せという学校が多かったのが実情だが、オンラインを活用した教育現場の変革の波は今後着実に広がることだろう。