神奈川新聞 2020年7月20日 朝刊掲載
新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう臨時休校で混乱する中、子どもの学びを止めないために教員一丸となって奮闘した学校の一つが青山学院初等部だ。
情報主任の井村裕教諭は「授業はどんな状況下でも行えることを今回学びました。苦労はありましたが、この経験を通じて私たちができることがさらに広がったと捉えています」と意欲的に語る。
同校では2012年からICT(情報通信技術)の推進を目的に産学協働プロジェクトを立ち上げる。その参加メンバーには青山学院大学教授・杉本卓教授や日本マイクロソフト社、エルモ社などの企業が名を連ねる。プロジェクトでは、これまで電子黒板の導入やデジタル教科書の配備、一人一台のタブレット活用など、ICT環境の整備を着実に進めて来た。
そんなICT推進校でも、今回の突然の一斉臨時休校の対応には苦慮したそうだ。ただ、この4月から全家庭と学校をネットでつなぐ「初等部ポータル」を開設予定だったことは幸いした。
この仕組みをいち早く確立させ、今回のコロナ禍のオンライン学習の基盤とした。
初等部ポータルはマイクロソフト社のSharePoint(シェアポイント)というデータ共有サービスを活用している。ここで授業動画を共有してオンライン学習を行った。
その動画だが、教員たちは開始1か月間で486本もの数を作成した。
この動画のラインナップには授業だけでなく、ミッションスクールならではの「始業前礼拝」=写真なども揃う。
閲覧数も多く、一日のアクセス数は平均四~五千件だった。
ただ、配信後、間もない頃には家庭での接続トラブルなどが絶えず、多い時には保護者から1日200件を超える問い合わせがあった。
しかし、トラブル対応を重ねることで教員たちのICTスキルはおのずと高まっていった。
ICTの活用方法を動画に撮り、教員同士でシェアする流れも自然と生まれた。
オンラインの利点であるシェアのしやすさは教員たちにとって大きな発見で今後もこの経験を生かしたいと井村教諭は語った。
情報元:エンパワードジャパン緊急ウェブセミナー講座