理究の哲学(エンジン)

第六章 保育・幼児教育の考察②③

第二項 五領域 編

この章では、2012年~2014年まで神奈川新聞教育コラムに掲載した中から「保育園、幼稚園での五領域」に絞り、5本を抽出し、一部修正、加筆をしました。
コラムは文字数に制限があるために、文体は前章まで異なります。


1【五領域―健康】(2013.10.21 掲載)

小・中学校の義務教育では、教科学習が核となる。成績がつくので、関心度が高い。成績表に“怒り心頭”を経験された人も多いだろう。特に、高校入試は、中学校の成績=内申点の影響が大きいので、注目度は凄まじい。よって、家族が神経質になるのは理解できる。
ところで、小・中学の評価項目は周知されているが、幼児教育はどうなっているか、世間的には関心度が低い。幼稚園は、「学校教育法」で定められた、いわば、学校ではあるが、小・中とは異なる。連携する小学校へは、「指導要録」「保育要録」として、生活の様子などの“申し送り”がある。
幼稚園(保育園)の教育内容は、【健康】、【人間関係】、【言語】、【環境】、【表現】の5領域。一見、うん?という感じだが、これがなかなかの優れモノ。ただ、能力開発という視点では書かれていない。よって、そこをカバーしたい。
今回は【健康】。この領域は、友だちと元気に外遊びができるか、と基本的生活習慣(衣服の着脱、食事、排泄)が身についているかどうか、とに集約される。
10月からNHKの朝ドラが「ごちそうさま」になった。食事の場面や仕込みのシーンが頻繁に出てくる。主人公が美味しそうに食べる。“食”は、生き物としての原動力だ。“食”で家庭内の躾、ルール、文化が培われる。医食同源の言葉もあるように、健康の源。能力開発にこれを活用しない手はない。
先ず、前提条件として“食”を楽しむ、好きにさせることだ。何でも食べられる子は特例だと考えたほうがいい。苦手なモノは誰でもある。矯正させたい気持ちはわかるが、悠揚に構える方が得策だ。義務感で食べる食事ほど嫌なものはない。会話と笑顔があればご馳走になる。
次に、食材・調味料・道具などに興味を持たせたい。
スーパーや商店街は、“教材の宝庫”だ。そこには新鮮な生きた題材がある。コツは、じっくり手にとることだ。観察して、比較して、選択する。そのプロセスは見せたい。たまには、漁港に足を伸ばすのもいい。海の幸を上手に捌く光景は、好奇心を刺激する。
究極は、食事づくり。能力開発の絶好な作業場となる。食材を洗う、切る、煮る、焼く、炒める。子どもに包丁や火を扱わせるには手間がかかる。危険も伴う。だから、慎重になる。集中力も注意力も養える。料理は、自立心を向上させる。自分で作らなければ食にありつけない、こんな状況になれば誰でも逞しくなる。

五領域の中の「健康」領域

狙い(発達を捉える視点)
健康 明るくのびのびと行動し、充実感を味わう
自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする
健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付ける

※幼稚園幼児指導要録と保育所児童保育要録の狙いは同じ

固定ページ:
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99

100

101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130