理究の哲学(エンジン)

第七章 仕事ノ学

第五項 進化し続ける組織でありたい

― “無意識の問題” ―

私が危機感を持ち始めたのは、どんちゃか部門の在籍者数が、東京、神奈川とも年々減少しているデータがあるからでした。何とかしなければという焦りが出始めていました。過去最高値の半数以下の在籍者まで落ち込みはじめました。

理由は様々考えられました。
①理英会に力点をシフトしたために、商品力(カリキュラム・教材・講師力・・)の改善に手を抜いた?
②“ユニ・チャーム”の看板がとれ、露出度の低下? インパクトが激減?
③低価格の類似商品が世に溢れている? 優位的差別性の訴求が弱い?

①~③の中で、1番のポイントは価格と読みました。なぜならば、調査報告から、競合他社の価格帯が6,000円~8,000円に集中していることが判明したからです。それに比べ、当社は15,000円。倍の価格です。勿論、高価格商品に見合う価値(授業内容、教育効果、教材や情報など)を、顧客に提示でき、与えることができれば売れたことでしょう。しかし、在籍数が激減している現状は、顧客からのNOを突きつけられた、を示しています。

それでも、幼児部主力商品の理英会は神奈川NO1を堅持死守。幼児事業部の創意工夫と努力で売上げ・利益とも毎年目標達成が続きました。
それゆえ、どうしても“変革”するには、事業部全体が重い腰になっているのでした。

これは、意識の問題ではなく無意識の問題なので、実はやっかいなのです。
指示だしから、早速幼児部では商品コンセプト、価格、授業時間、授業内容などの見直し・再構築を始めるものの、これが遅々とて進まず停滞していました。

この事例は、かつての成功体験や、慣れ親しんだ方法が、迅速な“変革”を阻む、ということを教えてくれました。固定観念や思い込みは、大きな壁になっていました。
フットワークの良い事業部でもこういうことがあるのです。誰の責任でもありません。この項の冒頭で紹介した、自然が成す― “エントロピーの原則”に似た現象です。
組織としての固定化が柔軟性、迅速性を蝕み始めているかもしれない、という疑念が生じました。化学変化を起こさねば衰退していく・・・・

商品作りに「統合マーケティング部」が加わり、化学変化が起こりました。変革の第一歩がスタートしました。

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