理究の哲学(エンジン)

第一章 幸福ノ学

第四項 「幸福論」→「ウェルビーイング理論」

― ”満足は一瞬” ―

私は、「満足は一瞬」という彼の何気ない言葉に、一瞬引き付けられました。
それは、金メダル獲得を至上命令されているNippon代表柔道家の生き様に敬意を感じた、と同時に、代表選手は、金メダル以外”満足”を与えられない運命の惨たらしさに違和感を覚えたのです。彼らは「幸せなのか?」と疑念も出ました。世界の頂点を目指すとは、なんと熾烈なのでしょうか。
「満足は一瞬」という世界を極めた人物の語りは、ある種の真実を表現しています。それは、人生の満足度を研究する従来のやり方に示唆を与えます。なぜなら、心理学研究の手法の1つである質問紙法での、”満足度調査”は、内容は何であれ、まさにその瞬間に”自分がどれだけよい気分でいるか”に左右され、主観的かつ一元的なものになる可能性が高いからです。
「満足は一瞬」の意味は、すなわち「満足は継続しない」を引き出します。
刹那的「満足度」を高めることには、あまり意味がないということを、この柔道家は示してくれました。

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