第七章 仕事ノ学
第十項 プロの仕事
世の中の困っていることを見つけてそれを解決する
これこそすべての仕事の原点である
それを解決する人は仕事師であり
誰にも負けない独自の技術をもっている
モノをつくる固有技師 ソフトサービスを提供する技師
モノ 金 時間 情報をコントロールする管理技師(中略)
何か得意な技術を持たずして社会に存在することはむずかしい
― 『未見の出発』 田辺昇一著者、ダイヤモンド社 ―
私は20代後半に3年間ほど、小学館の雑誌に原稿を書いた経験があります。
原稿料は覚えていません。ただ、独身であり、身軽なので原稿料のほとんどは、学生たちとの飲食で消えていきました。
原稿といっても、「知能テスト」の執筆なので、得意中の得意でした。小学館編集会議で決まった内容を毎月絵コンテにして提出。編集局で制作したイラストや文字を校正。再校正が2,3日後、色校正を経て、出版。お客様の声や質問にも対応していきました。編集人がチャーミングな女性だったので、私なりに意欲的だった記憶があります。
「校正済」という印字がいくつも押されていて、「ほー、出版社はこうやるんだ」と妙に感心したことを覚えています。
五十代半ばに、神奈川新聞社の教育コラムを執筆する機会を得ました。
「お支払いする原稿料なのですが・・・・」と躊躇する担当編集人に、「原稿料は不要なので、広告などは自由にできる紙面を作ること、保育や幼児教育の特集も組むのはどうでしょう」という条件で交渉成立。
神奈川新聞社も小学館と同じように、複数の目で確認し、「校正済」の印があります。懐かしさと共に、年月が経ってもこの種の仕事は、緻密さの連続だなぁ、と感心するばかりです。
私たちは、教材、広告・販促物、HPなど、お客様に見ていただくものを創出しています。これを「世に出す作品」として命を吹き込んできました。
「いい加減なものを出すわけにいかない」
なぜならば、その作品で他人は、その組織・会社・団体を評価するからです。
しかし、人間のやることだからミスはつき物。
失敗学の畑村洋次郎氏によれば、大切なことは、失敗の法則性を理解し、失敗の要因を知り、失敗が本当に致命的になる前に未然に防止する術を覚えること、だそうです。
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