理究の哲学(エンジン)

第三章 脳と心ノ学

第一項 脳科学の時代?

― fMRI = 機能的磁気共鳴画像法 ―

2015年7月にNHKで放映された特集番組は、かなり衝撃的であり、今後の脳科学の可能性を予見させるものでした。
番組タイトルは『腰痛:治療革命~見えてきた痛みのメカニズム』です。
慢性腰痛で悩んでいる患者さんに対して、医学的(外科及び薬など)な治療ではなく、心理学的・脳科学的な示唆、ヒント、アドバイスで治療をし、56%の患者さんが完治したことを証明していました。
慢性腰痛患者とは、3ヶ月以上痛みが継続している人です。ぎっくり腰や疲労や打撲などの腰痛は、当然、外科的な治療が必要です。その治療期間は個人差がありますが、多くの患者は1ヶ月以内で回復に向かい、3ヶ月間も外科的な治療は必要ないと言われています。よって、慢性腰痛に悩まされている人のケースでは、”外科的な問題ではなく、他に原因があるのではないか?”という疑念が治療革命の発端になりました。
患者さんにとって頑固な痛みと付き合うことは不安を超えた恐怖心があるようです。外出もできないほどの恐怖に困惑し、茫然自失状態に陥ります。実は、その恐怖心を自分の脳で感知し、幻の痛みを”脳”自体が、勝手に自分の痛みを作り出しているというメカニズムが解明されています。

この20年、脳科学が格段に進歩しました。それを牽引し、後押ししてきているのが、「fMRI = 機能的磁気共鳴画像法」という脳画像法の実用化です。
自然界の最高傑作といわれる脳。
人間が他の動物と違う点は、脳の発達・進化です。よって、私たち人間が、より良い人間であるためには、脳なしでは語れません。
人間教育に携わっている私たちが、脳に関する時代遅れで世俗的な情報で保護者を煽ることはしてはなりません。そのためには、自らを律して、どんどん進化する「脳科学」をマークする必要があります。

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