理究の哲学(エンジン)

第四章 未来創造ノ学

第二項 次なる目的は「授業革命」

― “思い込み”からの解放 ―

今までの敗因をもう一歩突っ込んで考えてみました。
一言で言うと“大きな3つの思い込み”です。

1つは、英語の得意な社員が、英会話できなければならない。
2つは、英会話できなければ、競合他社との差別性が出せない。
3つは、英会話研修によって、英会話が上達する

「英会話」と、いうものに縛られていました。
「英会話」ができなければ、話にならんよな、という“思い込み”です。
陸の孤島である日本では、英会話する環境が整っていません。よって、英会話する必然性がないのです。これでは、学習が継続するはずもありません。なので、いつまでたっても英会話はできません。
では、どうするのか。英会話ができなければ、できる人材を探してくればいい、ことに気づき、そのパイプもできました。留学生アプローチです。毎年多くの外国人学生がこの横浜で学んでいます。この人材を活用しない手はありません。彼らは就業を目指しているのではないので、充分Give and Takeの関係が築けます。
次に教材です。
「ことばの学校」では、2016年からタブレットを使用した多聴をします。
このタブレットに英単語、英語フレーズをのせ学習補佐をさせます。
英語の主要学習教材は、グレード別書籍です。
私たちの「ことばの学校」は、多聴多読という形態と教材を解かせることで、日本語教育(国語力)を鍛えていこうとするものです。
英語学習で、これに似た学習方法を取り入れているモノに出会いました。
『快読100万語!ペーパーバックへの道』(著者 酒井邦秀)です。何とこの本は2002年に出版されていました。私が手にした本は2015年版です。すでに13年も前に出ています。
この本は、「多読学習法」の普及を目指した具体的な指南書です。
英語多読の3原則は
① 辞書は引かない ②わからないところは飛ばす ③つまらなければやめる
という革新的ですが、共感できるユニークな提言をしています。
これらは、我々が実践している「ことばの学校」に共通する考え方でした。
日本語と英語との違いはあるものの“言語学習”という点では類似することが多く、正直びっくりしました。
さらに、酒井氏の提唱した「多読学習法」をSSS英語学習法研究会の古川昭夫氏らが実践していることを知りました。中学・高校生を対象として効果を出しています。私は、小学生を対象とした「多聴・多読プラスαの英語力育成」に挑戦したいと考えています。小学生には、中学生以上の学習とは違うプラスαの教材や仕掛けが必要だと考えています。

『百万語多読入門』という本で、およそ100年前に夏目漱石が英語についての勉強方法を書いていることを知りました。 少し長いのですが、引用します。

「英語を修むる青年はある程度まで修めたら辞書を引かないで無茶苦茶に英書を沢山読むのがよい、少し解らない節があって其処は飛ばしていってもドシドシと読書していくと終には解るようになる、また前後の関係でも了解させられる、其れでも解らないのは滅多に出ない文字である、要するに英語を学ぶ者は日本人がちょうど国語を学ぶような状態に自然的習慣によってやるがよい、即ち幾編となく繰り返し繰り返しするがよい、ちと極端な話のようだが之も自然の方法であるから手当たり次第読んでいくのがよかろう」『現代読書法』

夏目漱石も多読を推奨していたというのは、面白いエピソードです。辞書を引かずに、わからないところは飛ばして読む、という考え方は、現在運営している「ことばの学校」の考え方であり、私自身の生き方―相当いい加減な―にも通じるところがあり好感を持ちます。

“精読”から“多読”へ
“多読”から“多聴・多読”へ
“多聴・多読”から“読むとくメソッドへ”

私たちは、“読むとくメソッド”を錬磨していきます。

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