理究の言魂(ことだま)

NO9-5 行動原則2(Rookie(ルーキー))

ス・ネ・カ・ジ・レ(脛かじれ)

この行動原則2(Rookie)は、新入社員・スタッフやアルバイトさん、学生さんに、初期研修で必ず伝える原則です。同時に、全スタッフにも理解してほしい原則なのです。
「ス・ネ・カ・ジ・レ」と会社方針で伝えているのに『キミは、即戦力として考えている』などと、自分自身の新人の時の未熟さを棚に上げて、過分なプレッシャーをかけないでほしいのです(笑)

ス・・・「素直に」のス

素直に学ぶ姿勢は、人から好かれます。
二十数年生きていれば、あなたなりの主義主張、考え方や価値観を持つことは自然ですね。特に「保育観」や「教育観」というのは各人それぞれです。しかし、先ずは「理究の言魂」にある基本用語をあなたなりに理解して消化し、“自家薬籠中の物”する事です。あなたの考え方とアウフヘーベン(NO2 社是 参照)させていけばいいのではないでしょいうか。この世に絶対的なものはないからです。独りよがりになったり、四角四面に考えるのは得策ではないし、あなたの成長を止めてしまうでしょう。
先ずは、仲間を増やすこと。先輩、後輩から理解を得ましょう。素直な人は、誰からも好かれます。好かれれば、情報が入りやすくなる。味方は多い方がいい。

思い出しても恥ずかしさがこみ上げてくる“仕出かし”や“ミス”。思い込み、無知・無教養、準備不足、不用意な発言・・・・その“痛い経験”は、人間を成長させてくれます。その“ポカ”や“間違い”は、その後のあなたの人生の糧、資産になります。
ただ、条件があります。その“しくじり”を人のせいにしないこと。”自分原因論”で素直に認めることです。そして、次に繋げる努力をしましょう。だから・・・当面、脛(すね)をかじっていいのです(笑)
最初から、仕事ができる人はそうそういない。
私も失敗ばかりしていました。どんな失敗かって?
挙げればキリがない(泣笑)スタートは、だれでも新人です。

ネ・・・「粘れ」のネ

人と関わる職業。簡単に諦めては人を育てることはできません。
あなたは「粘り強い」というのに、どのようなイメージを持つでしょうか?忍耐強い、コツコツ努力できる、物事に意欲的、ストレス耐性が強い・・肯定的に捉えられる用語が並びます。誉め言葉として使われる言葉です。
ただ、弱点としては、周りが見えなくなる、拘り過ぎ、なんて事もあります。一番まずいのが「無理をする」ということです。「無理」はどこかに歪がでます。
肉体的、精神的な無理は禁物。健康を害する遠因になります。「粘る」のは、心と体力の無理ではなく、頭に負荷をかけることです。「粘れ」とは、いろいろな角度から物事を考えなさい、柔軟的に事に当たりなさい、ということを示しています。「粘る」コツは、このNO9-3「認知心理学的なアプローチ」で触れたシステム2=スローを使うことです。問題解決を瞬間的な思考=システム1だけで行わず、じっくり考える時間を取る工夫をすること。TA予実表作成に時間を取りましょう。自分のスケジュールを3ケ月先まで俯瞰してみましょう。
あなたに「粘り強さ」が出てくれば、それは「プロ意識」が芽生えてきた証拠なのです。

カ・・・「変われ」のカ

「茹でガエル症候」という教訓があります。
残酷な話ですが・・・カエルを熱湯の中に入れるとすぐに飛び跳ねて逃げ出します。敏感に反応します。ところが、低温水の中にいるカエルを徐々に温めていく(温水に知らず知らず慣れていく)と、その変化に気が付かず、そのうち熱湯になっても動かず、茹でガエル状態で死ぬ、というものです。
勿論、そんな間抜けなカエルはおらず、現実にはあり得ません(笑)。人類は、ホモ・サピエンス(賢い人)として進化しました。大脳が発達したために、言葉が生まれ、イメージ力が豊かになりました。創作活動が、宗教、芸術、文学などを構築してきたのです。「茹でガエル症候」の寓話は、現状に満足していると大変なことになるという戒めとしてビジネス研修などで使われる例です。つまり『「変わる」というのは、意外と難しい、大変な事なんだ』という説教、警鐘なのです(笑)
最近では地球環境問題にも比喩されています。二酸化炭素などによる地球温暖化やオゾン破壊による健康被害や環境破壊が、いずれ取り返しのつかない状況になるなどの警告として発せられています。日本も欧州各国にならい、2050年(30年後)までに温室効果ガス排出ゼロを宣言しました。「核兵器禁止条約」についてはまだ批准(署名)していません。さてさて、日本は、この地球の為に、人類の為に「変わる」ことができるのでしょうか。
他人と自分の過去を変えることはできません。
未来と自分自身は変わることはできます。
「変わる」ことは、難しい。しかし、それを“楽しむ”ことができたら・・・最高ですね。

ジ・・・「自己~」のジ

変わるためには、経験をすることです。教養を身につけることです。学び続けることです。世の中は日々変化しています。
その変化に対応するためには、
「自己啓発=自己研鑽=自己鍛錬」それが“自立”につながる
最大の障害は他人ではなく、自分の中にある。これが基本です。

次に応用に触れましょう。
社会人1年目で環境が大きく変わると、様々な悩みも出てきます。悩む人には大きく2つのタイプ。
1つ目は、「自己中心的な振る舞いから起因する悩み」。いわゆる、自己チュウってものです。自分の思う通りにならないことにイライラしたり、周りの人と衝突したりします。徐々に欲求不満が募り、態度や表情に出てくるので要注意です。社会人になるという事は、ある種の組織に属するわけです。つまり、あなたはチームの一員。先ずは、ルールを確認し、納得できない時は、先輩に相談する事です。それでも腑に落ちない時は、別の道を選択するのがいいでしょう。
2つ目は、「自己犠牲的な思考・行動が起因する悩み」。保育・教育サービス業に従事する人には、この「自己犠牲」のほうが「自己中心」より断然多いでしょう。何事も「他人ファースト」の感覚が身についています。この感覚があるからこそ、この職業を選んだのかもしれません。ただ、何事も“過ぎたるは及ばざるがごとし”。もしも「自己犠牲=貧乏くじ」的な要因で悩み始めたら「自己本位」を思い出してください。これは、夏目漱石の個人主義の生き方を指しています。「自己本位」とは、自分自身の中に判断や行動の基準を置くことです。つまり、相手の顔色を窺って、それに対応をすることではありません。この書でも、多くの原則、鉄則、法則を綴っています。人は、それほど強くはありません。何かに、誰かに頼って生きているのです。

レ・・・練習のレ

宮本武蔵の『五輪の書』は、武道家にとっての必読書。私が幼いころから中学を卒業するまで通っていた町道場の師範は、こよなく『五輪の書』を愛読し、下記の名言をことあるごとに教示されました。マイナス10度の寒稽古での締めの言葉でも、『諸君、武蔵の言うところの“鍛錬”とは・・・』師範の吐く息は真っ白です。
『千日の稽古を“鍛”とし、万日の稽古を“錬”とする、これなのだ。この寒さの中でよく頑張った。キミたちは必ず強くなる。そして、全国大会に出場できる』
少年剣士の私たちにエール(yell)を送ってくれました。
千日は、およそ3年。万日は、およそ30年。
つまり、武蔵は、少なくとも3年程度は1つの道に励み、この道を究めるのならば、30年程度、精進することの重要性を唱えているのだと思います。それによって、一人前になるということを意味していたのでしょう。それを“鍛錬”と呼んでいたと私は解釈しています。
鎖国下、産業革命以前の電気も水道もない江戸時代の武士の哲学です。が、“鍛錬”する事の意義は、今でも通用する言葉です。

「1万時間の法則」というものがあります。どんなことでも毎日練習して1万時間程度すれば、水泳やピアノや語学などの習い事であるならば会得できるという法則です。計算式にすると

A 10時間/日×365日×3年=10950時間
B 1時間/日×365日×30年=10950時間

となりますが、数字にすると途方もない。たとえば、Aの式。受験生ならば短期決戦なので毎日10時間程度の勉強は可能です。3年間やれば、計算上は「1万時間」。ですが、それができるのは鋼鉄のような意志の持ち主でしょうね。Bの式では、毎日1時間。もしも毎日1時間ならば30年間を要します。普通の習い事でも毎日1時間の練習することは難儀です。もしもできたとしたら‥・これまた凄い(笑)

「1万時間の法則」「鍛錬の時間」、ともに大業であり苦行でもある、というのが類似点(汗笑)。つまり、あなたも経験があるように「1時間~10時間」を仕事以外で確保するのは至難の業。だから、多くの人が挫折をするのです。誰にも経験がある”3日坊主”というものです。
継続するにはモチベーション維持が重要なポイント。嫌いなことは続きません。継続できなければ、一人前にはなれない。
ならば、“好きな事”を習い事や仕事にするのが手っ取り早い。しかし、(習い事は別として)わずかな幸運者を除いて、多くの青年たちは、仕事を“好き嫌い”で選択できない事情があります。ならば、“与えられた仕事を好き”になることです。不平不満や文句を言って仕事をすることは、あなたの人生を、あなた自身でダメにしている自虐行為(汗)
先ずは、石の上にも3年。“与えられた仕事”を究めることで、その仕事を好きになる可能性も高くなります。それでも、あなたの感覚で“この仕事は違う”と思ったら道を変えればいいのです。

「鍛錬」という言葉は、気宇壮大です。威厳があり強烈な熟語だと私は感じています。「鍛錬」は、“稽古”や“練習”のプロセスや結果を示しています。それに対して「練習」は、一般的な言葉として多用されています。「練習」とは努力をすること、繰り返し励むことを言います。多くのアスリートが必ず明言している事は、「練習せよ」。そして、「練習」はあなたを裏切らない・・・とも。
行動原則2(Rookie)は、「ス・ネ・カ・ジ・レ」で覚えましょう。

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