NO13-5 (ソ)損益(そんえき)
財務3表
「損益」は、漢字のイメージでおおよそ察しが尽きますね。「損益計算書」となるとどうでしょうか。経理担当者以外は、馴染みがない領域です。知らなくても業務には支障はありません。ただ、“企業経営”という側面からは、“お金の流れ”は不可避なテーマ。よって、初めに用語の説明をザックリします。
複式簿記の基本は、すべての取引を2つの視点(複式)から眺めて、『資産』『負債』『純資産』『費用』『売上(収益)』の5つに分類します。それを集大成したものが試算表で、その試算表を2つに分けたものが『B/S(貸借対照表)』と『P/L(損益計算書)』の財務2表です。「損益計算書」は、会社の経理(複式簿記)に出てくる重要な書類になります。
日常生活では、多くの人が、家計簿に現金の出し入れの記録をしていることでしょう。家計=一家における経済生活のやりくり(ウィキペデア)は、家庭経営を支える営みです。あなたが慣れ親しんだ「収入」「支出」「残高」3つの分類です。家庭生活を継続する上で大事な作業です。いい加減に扱っている人はいませんか?(笑)
「お金」は命の次に大切なモノの1つ。限られた収入の中で、何にいくら使うのかは大きなテーマです。なぜか「お金」の話しは敬遠されがちです。世の中や生活が「お金」を中心に動いているならば関心を持たねばなりません。「お金」に関する啓蒙活動の必要性を感じています。先ずは、パートナー同士で忌憚なく、話題にできるといいでしょうね。
さて、企業経営では家計とは異なり、財務3表として以下のものを活用します。
『B/S(貸借対照表)』は、創業してからの事業歴史。どこからお金を集めて、どのように投資してきたのかを示します。現金の残高や預貯金の残高はいくらなのか、土地・建物の価値はいくらなのか。つまり、財産残高の一覧表。大きく『資産』『負債』『純資産』で表します。
『P/L(損益計算表)』は、正しい利益を計算する表。
利益=売上-費用 という極めてシンプルな計算式。
ただし、会計ルールがあります。売上は、代金の回収があった時ではなく、商品やサービスを提供した時に、計上するという決まり。『P/L』の売上や費用の認識は、現金の動きとは異なります。つまり、関係ないということ。
『費用』『売上』『利益』の3つで表します。
『C/S(キャッシュフロー計算書)』は全ての取引を“現金の出入り”という現金1点で記帳。「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つの欄に分かれています。
財務3表は、3つで1セット。どれも重要ですが、分かりやすさの点では『P/L(損益計算表)』。よって、『サ行経営活用』では、(ソ)=損益としました。
損益の着眼点
企業経営活動の本質は
① お金を集める ➡ ② 投資する ➡ ③ 利益を上げる
会社経営は、1年間という縛り=One Year Rule(ワンイヤールール)があります。1事業年度が1年。決算報告を“泣く子も黙る”税務署に申告し、納税をします(汗)。よって、経営者はどうしても『P/L(損益計算表)』に焦点を当てます。「今年の利益はなんぼや?」に関心が集まるのです。
上記の『B/S(貸借対照表)』は、企業・会社の健全性や可能性と言ったポテンシャルを表現します。また、『C/S(キャッシュフロー計算書)』は、人間でいう“血液”の過不足を表します。血液が循環しなければ、それは死を意味します。コロナ禍で、日本政府が目標にしてきたプライマリーバランスを無視して40兆の補正予算を組んだのも、市中に血液=キャッシュを回さないと倒産する企業が増え、失業者が増大するのを防ぐためです。
「創意工夫無くして経営なし」その利益創出の着眼点です。
① 売上高を上げる(単価×在籍人数・品質)
② 粗利益を上げる(教材制作の内製化による原価率を下げる)
③ 変動費を下げる(内製化とアウトソーシングの見直し)
④ 固定費を下げる(直営教室形態以外の経営、FC展開、提携事業)
⑤ 商品構成を変える(開設コース・品揃え)
⑥ 生産性を上げる(ICT活用 スペシャリストの育成と活用・死に時間帯の活用)
⑦ 固定費の変動費化(人件費)
「カネは有限、知恵は無限」と唱えた経営者がいました。うまいことを言うものです。資金のないものは頭を使うしかありません。経営理念の1つ「知恵の経営」の文言は、6畳1間風呂無し・共同トイレの安アパートで誕生しています(笑)
年間運営計画を立案する時に、上記の①~⑦を1つ1つ吟味する事です。例えば、②の粗利益をあげるためには、教材原価に対して、少しだけ意識するといい。その意識とは「How much?」と言いながら、売り上げに対する原価率を紙に計算する事。書くことです。そう、手を動かす(笑)
勿論PCで自動計算させても構いません。それを習慣化することです。
利益は未来を創る
“利益に対する考え方” は、下記の7項目が的確に表現しています。
渋沢栄一の「道徳経済合一(どうとくけいざいごういつ)」と相通じるものがあります。渋沢が、官ではなく最終的に民を選択し、日本国の発展を遂げたのは、利益に対する考え方があったのではないかと思いめぐらしています。
① 利益無くして、会社は存続しない。
② 利益無くして、会社は安定・発展できない。(リスクの保険なし)
③ 利益無くして、サービスの存続はできない。
④ 利益無くして、社員の生活の向上と安定は計れない。
⑤ 利益無くして、新しい開発・投資ができない。
⑥ 利益無くして、社会貢献のための原資を出せない。
⑦ ゆえに、利益無くして経営なし。
利益は顧客、社会から頂くわが社への「評価」でもあり、「報酬」でもあります。その利益は、税金というカタチで社会貢献しています。利益がない、ということは直ちに、わが社のサービス、商品、スタッフという財が社会や顧客に認められなかった、貢献できなかった、ということを示しているのです。①に示すように、“会社が存続しない”という事は、働く人材を雇えないーそれは、給与を払えない、給与に課せられる所得税や社会保険料も払えないことを意味します。
それは、この理究グループが社会にとって不要である、あなたの存在(理究を通しての)も何ら必要ではないということを意味します。文章としてこのように表現されると悲しくなりませんか(汗)。左翼系の人たちの中には、自由競争による商品の生産、販売、その結果として売上げや利益に対して「金儲け」というレッテル貼りをするのを耳目します。残念なことだと感じています。
「人間はどのように進化・発展してきたのか」「人間社会の発展と継続性を多くの人が求めている」という事実を軽視しているように思えます。また、一人ひとりの個人が自由で、自主的な、国家に縛られずに活動したい。その為には「利益」は不可欠という真実に正面から向き合っていません。
どの企業も利益を得るために、創意工夫をし、改善を重ねます。
・・・ゆえに、「利益」なくして「経営」なし。